Swiftの歴史を振り返る

誕生から今までの歴史

誕生するまで

Swiftは2014年に開催された開発者向けイベント「WWDC(Worldwide Developers Conference)2014」で初めて発表されましたが、それまで事前の予測やリークがなかったため、業界全体が意表を突かれました。Swiftの開発メンバーの1人であるクリス・ラットナー氏はコンパイラ基盤のLLVMの開発者としても有名ですが、彼いわく「開発にあたって多くの言語(Rust、Haskell、Ruby、Pythonなど)を参考にした」とのことです。元々Apple社が採用していたプログラミング言語はObjective-Cですが、これは30年以上前に開発されたもので、当時の開発環境における利便性はそれほど高いものではありませんでした。より生産性を向上させるためには既存言語を使用するのではなく抜本的な見直しが必要であり、Apple社はSwiftの開発に踏み切ったのです。
実際に、Swiftだけではなく2000年以降は多くのプログラミング言語が誕生しました。スイス連邦工科大学のマーティン・オーダスキー氏が2001年にScalaを、マイクロソフト社が2002年にC#を、ジェットプレインズ社が2011年にKotlinを、それぞれ発表しています。Swiftの開発が始まったのは2010年で、当初はクリス・ラットナー氏と数名のみのメンバーでプロジェクトが進められました。2011年後半になった頃には社内でも評判が広がり、協力者が増えたことで開発のスピードが増しました。そして2014年、業界を騒がせた世紀の発表につながることになったのです。

修正を重ねて正式版をリリース

実は、Swiftがリリースされた当初は高評価だけでなく不満の声も多く挙がっていました。ベースとなったObjective-Cよりも使いやく分かりやすい点については概ね評価されましたが、オリジナルの統合開発環境において頻繁にクラッシュが発生するなどの問題も生じていたようです。その後Apple社はバグの修正や仕様の微調整を重ね、リリースから3ヶ月後の9月に正式版をリリースしました。

重要性が増している

業界最大手のApple社が開発したプログラミング言語ということもあり、リリース当初からSwiftは大きな注目を集めました。エンジニアの信頼がより強固になったのは、Swift1.2へのアップデートが行われたタイミングです。このアップデートにより多くの機能が改善されました。また、リリースからわずか1年後にはメジャーアップデートが行われ、スピーディに機能の改善や向上が行われている点も、多くのエンジニアから評価されている理由の1つです。
今に至るまでも継続的に機能の改善や向上が行われており、すでに多くの企業がサービスの開発にSwiftを採用しています。その代表例として、世界最大のファンディングプラットフォームであるKickstarter、世界最大のビジネスSNSであるLinkedInなどが挙げられます。また、スタンフォード大学などの教育機関がSwiftに関する講義を取り入れるなど、その重要性はさらに増しています。